大阪のJazz Studio"K'z"のブログ
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ホールの特徴を表すのに、よく残響何秒と付記してあります。
我々と違い電気的な音響装置なしで、肉声や生の演奏を客席に届けるクラシックの演奏家にとっては、
自然なリバーブが生まれるこういうホール空間は、絶対に必要な演奏環境でしょう。
電気的な音響装置・PAを必要としない、つまりそんなものがなかった時代には、
歌い手は肉声で勝負せねばならず、
声をあたりに響かせるための特別な発声の訓練を積まねばなりませんでした。
PAを必要とする我々の演奏はしゃべるように歌ったり、
細かいフレーズもシャープに聞き取れるように音響装置で増幅します。
では、クラシックを念頭において設計されたホールで、
増幅するためのPAを使用して演奏する場合、残響との兼ね合いをどうするか、
実に難しいところです。
そしてドラマティックに進行する舞台に必要な照明は・・・と
なるとこれまた非常に難しい。
昨晩、お知り合いの意欲的なステージに接しました。
ドイツのブレヒトの戯曲にクルト・ワイルが曲をつけた作品を
中心に取り上げたコンサートです。
大学時代の恩師千田是也がその戯曲を日本に紹介、舞台化し、
私自身教室で指導も受けたブレヒトです。
その作品である三文オペラは大学の友人達も、しばしば上演してきました。
おまけに舞台には人形も登場するとのこと。
それがどんな風に料理されるのか楽しみにしていたのですが・・・
やはりホールの選択を間違えたとしか思えません。
すり鉢状のホールのすり鉢の底がステージで、
客席はすり鉢の周りををぐるりと取り巻いています。
マイクを使用したヴォーカルは高~い天井との間で増幅され揺れて、
私の座っていたすり鉢正面最上段では、ほとんど歌詞が不明瞭で聞き取れないのです。
二部ではそれがだいぶ緩和されましたが、
生のピアノとチェロはホールの特性とマッチして、
自然に聞こえてくるのに声の輪郭がすっきりしません。
そしてコンサートホールとしての使用のみを想定した照明は、
単調にならざるをえず、このホールとしては異例とも思える、
ホリゾント代わりのドレープの効果のみが唯一の救いでした。
意欲的な試みなのに残念です。
今週もう一度、このホールへ出かけます。
スティールパングループのコンサートです。
複数のスティールパンがこのホールで鳴り響きあったら、
どんなになるか心配と期待が半々ですが、
プレーヤーにそれをぶつけてみたら、
音響のプロとの下見の結果、お客様が入れば、
音が沈むはずとの答えが返ってきました。
こちらは完全に生でやるそうなので、
彼女の予想通りの効果が生まれることを祈りながら、
音の重石の役割を果たすつもりでコンサートに出向きます。
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